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詩煩悩

【Mandiargues】”LES MINES DE CARMAUX”処女散文集『汚れた歳月』から紹介

マンディアルグ『汚れた歳月』とは?第二次世界大戦中に発表された『汚れた歳月』は、マンディアルグの処女作として知られる散文集です。形式的には詩と短編小説のあいだに位置し、後の短編集『黒い美術館』へとつながる中間的な作品といえるでしょう。収録作...
疑似学術地帯

アラトス『星辰譜』レビュー|星座と神話を詩にした古代ギリシャの星空ガイド

アラトス『星辰譜』レビュー|夜空を詩に綴った古代の星座ガイド紀元前3世紀、マケドニアに生きた詩人アラトス(またはアラートス)。プラトンやアリストテレスより少しあとの時代に、彼は神話と天文学が交差する時代背景のなか、空の星々を詩で描いた。彼の...
疑似学術地帯

『仕事と日』を読む|ヘシオドスの教訓詩が語る神話・天文・そして“働く”こと

ヘシオドス『仕事と日』――神話と天文紀元前7世紀ごろ、ホメロスと並ぶ古代ギリシャの詩人ヘシオドスが残した『仕事と日』。『神統記』と並ぶ代表作として知られ、神話や農業の教訓詩である本作は、現代の私たちが読んでも驚くほど面白く、風刺と洞察に満ち...
疑似学術地帯

【ATALANTA FUGIENS】「逃げるアタランテ」EMBLEMA Ⅰ.〜風が彼を腹の中で運ぶ

"Portavit eum ventus in ventre suo."北風と命のはじまり古代ギリシャの人々は風に人格を与え、方角ごとに神の名を与えた。北風は「ボレアス」と呼ばれた神で、生殖の力をもつと信じられていた。プリニウスの記述では、...
プラ保存箱

小学校の校庭に現れた二人の宣教師――“永遠の生命”をはじめて聞いた日

ある日、校庭に現れた二人組「永遠の生命」――その言葉を私がはじめて耳にしたのは、小学校の1年生か2年生の頃だったと思う。昭和のあの時代、町にふいに現れる外国人の二人組。今も昔も変わらないのだろうが、白人の若い男性たちは、どこか現実離れした魅...
哲学的偏見

アリストテレスの“第9のもの”とは何か|天動説・宇宙論・形而上学の核心に迫る

アリストテレスと「第9のもの」──天動説と宇宙論の哲学的展望古代ギリシャの哲学において、地球は不動の中心であり、そのまわりを天体が巡るという天動説が当然の前提とされていました。アリストテレスの宇宙論も、この天動的世界観を土台に構築されていき...
哲学的偏見

プラトン『国家』第8巻の“生成を規定する数”を読み解く|幾何学と魂の周期

「国家」第8巻と“生成を規定する数”プラトンの『国家』第8巻には、「生成を規定する数」と呼ばれる謎めいた幾何学的な文章が登場する。全著作中でもっとも難解とされるその一節を、まずは岩波文庫・藤沢令夫訳から引用しよう。書き出し:すべての生成物は...
哲学的偏見

プラトン『国家(下)』レビュー|洞窟の比喩と“影の世界”に生きる私たち

前回の記事では、現実世界と“似像”の世界とのあいだにある比例関係について書きました。水に映る月と空にある月、絵画とそのモデル、エロビデオと現実の性愛体験――それらの関係性において、似像とはあくまでも「写し」にすぎず、リアリティは常に劣化して...
哲学的偏見

プラトン『国家(上)』レビュー|線分の比喩とイデアの比例で読み解く哲学的リアリティ

作品概要古代ギリシャの哲学者プラトンによる対話編『国家』は、彼の著作の中でも特に長編に分類される作品です。「正義とは何か?」という問いを掲げながらも、冒頭から第5巻まで(岩波文庫版では上巻)は、理想国家の設計図のような内容が延々と続きます。...
小説の闘牛場

黒猫|エドガー・アラン・ポーが描く恐怖と罪の物語

あらすじ主人公はもともと温厚で、動物を深く愛する人物だった。幼少期から多くのペットに囲まれて育ち、彼の愛情は動物たちに惜しみなく注がれていた。やがて彼は同じく動物好きの女性と結婚し、夫婦で一匹の美しい黒猫を飼い始める。この猫は聡明で神秘的な...