あらすじ
映画「スターリングラード(邦題)」は各国合作の2001年公開の大作である。久しぶりに観たらほぼ画面に目が釘付けになった。一度だけ休憩を挟んだがそれを除けばイッキミするほど面白かった。
最近はそういう映画が本当に少ない。CGばかり派手でチャラいストーリー、薄っぺらな舞台設定、たいていの映画のパターンとか典型は出尽くした感がある。この「スターリングラード」は2001年の映画であるにもかかわらず今見てもムチャクチャ面白い。まったく面白い映画というものは新しい古いではないのだ、と再確認された。
あらすじは第2次世界大戦でロシアのスターリングラードでのナチス・ドイツとの攻防戦を描いたものであるが、美人女優レイチェル・ワイズとの戦場で芽生えた恋や、実在したスナイパーであるヴァシリ・ザイツェフを新聞で有名にして兵士を鼓舞するジョセフ・ファインズとの友情など、とにかく実話を熱く濃いストーリーに昇華している。なので観ていてどんどん引き込まれていき、やめられなくなる。
同じような戦争映画の金字塔としてスピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」がある。こちらはジョージ・ルーカスがスター・ウォーズの新3部作を再開した時、それに対抗するかのように公開された。以後第2次戦争映画ブームというべき流れが起こりその一つとして「スターリングラード」も認知されたように思う。オリバーストーン監督の「プラトーン」に続いて戦争映画ブームが続いたのにも似ている。
出演
主な出演俳優はジュード・ロウ、レイチェル・ワイズ、ジョセフ・ファインズ、エド・ハリスなどである。
ジュード・ロウはそのハンサムな顔立ちで一時期映画によく出ていたが、最近はあまり見かけなくなった。この映画で見るとシリアスかつ情熱的な役柄を見事に演じており、そのイケメンぶりは健在である。レイチェル・ワイズは現在47歳だが相変わらず美人で可愛く、やや男性から見るとエロティックな色気がある。007役ダニエル・クレイグの奥さんである。
ジュード・ロウはアメリカのグラミー賞歌手ノラ・ジョーンズと「マイ・ブルーベリーナイツ」で共演した。アルバム「リトル・ブロークン・ハート」を出した頃のノラ・ジョーンズは可愛らしいイメージでライブ映像を見るとレイチェル・ワイズに少し似ている。
ジョセフ・ファインズはこちらも最近はあまり見ないが「恋に落ちたシェイクスピア」や「キリング・ミー・ソフトリー」など、怪しげなサイコ男性を演じることが多く知られていた。「スターリングラード」でもレイチェル・ワイズ演じるターニャに実らぬ恋をし、破滅する。
そしてエド・ハリスはジュード・ロウのライバルであるナチスのスナイパーを演じ、息を呑むような精鋭同士の駆け引きと攻防は目が離せないものとなっている。またジュード・ロウを助ける手引き役で「ヘルボーイ」で知られるロン・パールマンも出演しており、豪華なラインナップとなっている。
交尾
16年ぶりに見たがずっと忘れられなかったシーンは、戦場の隅っこでジュード・ロウとレイチェル・ワイズが人目を盗んで交わる場面である。極限状態で得る生と性の激しい喜びでレイチェル・ワイズは白目をむき、ジユード・ロウは初めて女の裸をみた中学生のように興奮している。衝撃的名場面である。
ハッピーエンド
結局二人の恋人は奇跡的に生き残って地方の病院で再会するのであるが、ハッピーエンドなのがこの映画の良いところでもあり見た後の後味が非常に良い。
かつて二人が戦場で語り合っていた時、もし戦争に生き残れたら俺は工場の監督になりたいとジュード・ロウが言っていた。おそらく二人は結婚して家庭を築き、主人が工場へ働きに出かけるのを見送るレイチェル・ワイズの姿まで容易に脳内再生できる。うむ、いい映画だった。
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