Limp Bizkit『Results May Vary』ジャケットは史上最も地味?ウェス不在が生んだ空虚

視聴覚の墓場

Limp Bizkit『Results May Vary』──緑の顔に映る迷走と存在感

2003年に発表された Limp Bizkit の Results May Vary

そのジャケットを見た瞬間、多くのリスナーは首をかしげたはずだ。緑色に加工されたフレッド・ダーストの顔、それだけ。過去の作品が奇抜さと過剰さで彩られてきただけに、この“地味すぎる”ビジュアルはあまりに異質だった。

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なぜ緑? 意味はあるのか

公式には「緑を選んだ理由」や「顔をアップにした意図」について語られたことはない。Wikipediaや資料にあるのは、「フレッド・ダーストの顔を強調したミニマルなデザイン」という事実のみだ。

だがリスナーはそこに解釈を重ねてきた。

ナイトビジョンのような緑のトーンは、暗視スコープに捕らえられた叫びの瞬間を想起させる。叫ぶような表情と曖昧なタイトル Results May Vary(結果はさまざま) が響き合うとき、ジャケットは監視カメラに映し出された“不確定な未来”の象徴にも見えてくる。


フレッド・ダーストの顔=バンドの顔

映っているのはもちろんフレッド・ダースト本人。過去作のようにCGキャラクターやグラフィティを用いた派手なアートワークとは対照的に、ここではバンドのアイコンを全面に押し出している。

この時期、ギタリストのウェス・ボーランドが不在だったことも背景にある。バンドのアートディレクションを担ってきた彼の離脱は、音だけでなく視覚的な側面からも色を奪った。結果として、**「フレッドの顔=Limp Bizkit」**という直線的な表現しか残らなかったのだ。


比較して際立つ「地味さ」

  • Three Dollar Bill, Y’all$(1997)──アングラで不穏な人物画

  • Significant Other(1999)──グラフィティ感覚のストリートアート

  • Chocolate Starfish…(2000)──悪趣味で過剰なCGキャラクター

そして Results May Vary(2003)──ただ緑の顔。

列に並べれば一目瞭然。このジャケットだけがあまりにシンプルで、アートとしての物語を欠いている。


だが、その地味さこそ記憶に残る

意味があるのか、ないのか。

そこは曖昧だ。だが一つ確かなのは、このジャケットが「バンドの迷走期」をそのまま封じ込めているということ。

ウェス不在の空白、Nu-Metalの退潮、そしてフレッド・ダーストの自己顕示。すべてを背負った結果が、この緑の顔だった。

ファンの間で「一番つまらないのに一番忘れられないジャケ」と語られるのも、その証拠だろう。


結論

Results May Vary のジャケットは、派手さやアート性を剥ぎ取られた末の産物だ。

だがその“地味すぎる”顔は、時代の空気とバンドの迷走を映す鏡として、逆説的に強烈な存在感を放ち続けている。

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