哲学 プラトン『国家(下)』レビュー|洞窟の比喩と“影の世界”に生きる私たち 前回の記事では、現実世界と“似像”の世界とのあいだにある比例関係について書きました。水に映る月と空にある月、絵画とそのモデル、エロビデオと現実の性愛体験――それらの関係性において、似像とはあくまでも「写し」にすぎず、リアリティは常に劣化して... 2025.04.22 哲学
哲学 プラトン『国家(上)』レビュー|線分の比喩とイデアの比例で読み解く哲学的リアリティ 作品概要古代ギリシャの哲学者プラトンによる対話編『国家』は、彼の著作の中でも特に長編に分類される作品です。「正義とは何か?」という問いを掲げながらも、冒頭から第5巻まで(岩波文庫版では上巻)は、理想国家の設計図のような内容が延々と続きます。... 2025.04.22 哲学
小説 黒猫|エドガー・アラン・ポーが描く恐怖と罪の物語 あらすじ主人公はもともと温厚で、動物を深く愛する人物だった。幼少期から多くのペットに囲まれて育ち、彼の愛情は動物たちに惜しみなく注がれていた。やがて彼は同じく動物好きの女性と結婚し、夫婦で一匹の美しい黒猫を飼い始める。この猫は聡明で神秘的な... 2025.04.22 小説
哲学 精神指導の規則(デカルト)レビュー|明晰さと確実性の哲学を現代に読む 概要『精神指導の規則』は、17世紀フランスの哲学者ルネ・デカルトの死後に発見され、未完のまま刊行された著作です。断片的でありながら、彼の哲学的思考の核心を垣間見ることのできる重要な遺稿であり、長らく「隠れた名著」として多くの読者を魅了してき... 2025.04.22 哲学
小説 黄金虫(エドガー・アラン・ポー)レビュー|暗号と宝探し、知性の勝利を描いた名作 創元推理文庫第4巻に収録された、エドガー・アラン・ポーの短編小説『黄金虫』をご紹介します。あらすじ物語は、かつて裕福な家に生まれながら没落した若者ウィリアム・レグランドが、海賊の隠した宝の地図を偶然発見し、その謎を解き明かしていく冒険譚です... 2025.04.22 小説
小説 『すべては消えゆく』レビュー|マンディアルグが遺した“終末の黙示録”を読み解く すべては消えゆく――マンディアルグが描いた“終末の幻視”マンディアルグ(1909–1991)の最後の長編小説『すべては消えゆく』は、亡くなる4年前に発表された作品である。原題は “Tout Disparaitra”――つまり「すべては消える... 2025.04.22 小説
音楽 『逃げるアタランテ』レビュー|錬金術×音楽×神話が混合する無限の書物 逃げるアタランテ――音楽と錬金術が婚姻する書物「逃げるアタランテ(Atalanta Fugiens)」――この書名に聞き覚えがある人は、相当な錬金術マニアだろう。しかし、この本が“聴ける書物”であることは、意外と知られていない。著者はミヒャ... 2025.04.22 音楽
絵画 アルブレヒト・デューラー『芝』『野うさぎ』レビュー|雑草と小動物に宿る自然の力 アルブレヒト・デューラーの自然への眼差しドイツ・ルネサンスの巨匠、アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)が描いた2点の水彩画──「芝(The Large Piece of Turf)」と「野うさぎ(Young Hare)」... 2025.04.21 絵画
小説 『オトラントの城』レビュー|巨大な兜と怪奇の城―ゴシック小説の原点を読む 📚 幻想と怪異が交差する、ゴシック小説の原点"空から落ちた巨大な兜が、運命を告げる。"作品概要イギリスの貴族ホレス・ウォルポールによる『オトラントの城』(1764年)は、幽霊や超常現象が城内に現れるという、ホラー色の強い物語だ。ウィリアム・... 2025.04.21 小説
エッセー 【テレビ批判】ヨハネ黙示録・ゴグとマゴグ・獣の像と現代社会 テレビという“魔法の箱”の正体テレビ。それは今でこそ“ただの箱”と化しているが、かつては夢の機械だった。始まりは20世紀。部品の開発自体は19世紀から始まっていたが、「テレビ放送」が現実のものとなったのは1941年、アメリカにおいてだった。... 2025.04.21 エッセー