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【空海・密教入門④】仏教はPUNKだ──誓願・三密・力の本質を語る

誓願──仏教は生きるためのツールだ禅宗には四弘誓願、真言宗には五大願がある。形こそ違えど、いずれも仏教徒の誓いであることに変わりはない。三帰依、十重禁戒、十善戒などもまた然り。その根幹にあるのは、「成すべきことは断固として実行し、成すべきで...
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【空海・密教入門③】禅を超える継承者──弘法大師と中期密教の奇跡

伝達(続き)──禅宗との比較から見えるもの禅宗では、お釈迦様から代々の仏祖に伝えられた「正法眼蔵」が単伝されてきたとされる。その祖として中国では達磨大師が挙げられ、日本曹洞宗では道元がこの法を継ぎ、日本に伝えたとされる。だが、この「伝光録」...
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空海『十住心論』と日本密教の伝達|真言の神力と天皇制の思想

十住心(続き)──なぜ日本の密教はわかりにくいのか?空海によって日本に伝来した密教経典群。だが現代の私たちにとって、その意味はあまりに掴みがたい。チベット密教に慣れ親しんでいる人にとって、日本の密教は「異様に複雑で難解」だと感じられるかもし...
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空海『秘密曼荼羅十住心論』の読み方|密教入門と準備すべき書物とは

はじめに──空海の思想に挑む覚悟『秘密曼荼羅十住心論』──この圧倒的な題名だけで心が騒ぐ。空海の全著作の中でも屈指の重厚さを誇る本書は、仏教思想の深淵を覗き込む行為にほかならない。今回用いたのは、岩波書店『日本思想体系』第5巻。ずしりと重い...
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源信『往生要集』レビュー|六道の地獄絵から念仏瞑想まで──仏教救済の書を読む

【往生要集】源信(岩波文庫)レビュー〜六道から瞑想法まで、魂を救う仏典集成概要源信(恵心僧都)は、平安時代中期の天台宗僧侶であり、比叡山延暦寺に属していた。その著作『往生要集』は、仏教受容の成熟期、すなわち聖徳太子と鎌倉新仏教の間、そして空...
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【いろは歌】和歌に込められた仏教の教え|諸行無常と雪山童子の物語

はじめに「いろは歌」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。現代においては、単なる五十音の並び、いわば日本版アルファベットのように捉えられることが多い。しかし、その一見単純な歌には、実は深い仏教的意味が込められていることをご存じだろうか...
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『日本霊異記』レビュー|景戒が描いた因果応報の仏教説話集(講談社学術文庫)

【日本国現報善悪霊異記】『日本霊異記』(講談社学術文庫)紹介〜因果応報の説話集、その精神的ルーツを辿る概要『日本国現報善悪霊異記(にほんこくげんぽうぜんあくりょういき)』、通称『日本霊異記』は、奈良時代の天台宗僧侶・景戒(きょうかい)によっ...
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聖徳太子『法華義疏』とは何か?飛鳥仏教思想の核心に迫る注釈書の真価

【法華義疏】聖徳太子による『法華経』注釈──飛鳥仏教思想の原点をたずねて概要本稿では、聖徳太子(厩戸皇子)による『法華経』注釈書、『法華義疏(ほっけぎしょ)』を取り上げる。参照したテキストは岩波文庫版(上・下巻)であり、それぞれ約370ペー...
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 『法華経』岩波文庫版を読む|日本人の宗教観・倫理観の根源をなす大乗経典

【法華経】岩波文庫(上中下三冊組)レビュー― 日本的善悪観の根源をなす経典の読解 ―概説:仏教受容の基盤としての『法華経』『法華経』(正式名称『妙法蓮華経』)は、大乗仏教を代表する経典の一つであり、仏教が東アジア諸国に広まる際、特に日本にお...
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ハビアン『南蛮寺興廃記・破堤宇子』レビュー|仏と神を捨てた思想の極北

【ハビアン】『南蛮寺興廃記・邪教大意・妙貞問答・破堤宇子』レビュー|仏を捨て、神も捨てた男の哲学東洋文庫と収録作本書は平凡社の名シリーズ「東洋文庫」第14巻として刊行されている一冊である。検索の際はタイトルに注意。「南蛮寺興廃記」で調べると...