2025-04

小説

『黒い美術館』モンソー公園の奇譚|変身する男と“猫のマモン”との奇妙な婚儀

【マンディアルグ】L'homme du Parc Monceau.「モンソー公園の男」解説・紹介・感想前回の「ポムレー路地」に引き続いて『黒い美術館』からの短編の紹介。「ポムレー路地」が実際にフランスのナント市にあるのに対し、このモンソー公...

【マンディアルグ戯曲】『アルセーヌとクレオパトラ』解説|未邦訳の異色劇、その結末とは?

【Mandiargues】Arsène et Cléopâtre〜戯曲「アルセーヌとクレオパトラ」紹介マンディアルグの戯曲には『世紀の最後の夜』『イザベラ・モラ』などがあり、本作も含めていずれも未邦訳のままです。本作は1981年に発表された...

【マンディアルグ戯曲】『世紀の最後の夜』レビュー|預言と変身の怪奇劇を読む |

【Mandiargues】La Nuit séculaire「世紀の最後の夜」〜北欧の長い夜の大晦日長い夜1899年の12月31日の夜、ノルウェーの大都市ボードー。男爵夫人BARBROの家。2幕、登場人物8人;男爵夫人バルブロ、娘ロヴィーサ...

【Mandiargues】”LES MINES DE CARMAUX”処女散文集『汚れた歳月』から紹介

マンディアルグ『汚れた歳月』とは?第二次世界大戦中に発表された『汚れた歳月』は、マンディアルグの処女作として知られる散文集です。形式的には詩と短編小説のあいだに位置し、後の短編集『黒い美術館』へとつながる中間的な作品といえるでしょう。収録作...
天文学

アラトス『星辰譜』レビュー|星座と神話を詩にした古代ギリシャの星空ガイド

アラトス『星辰譜』レビュー|夜空を詩に綴った古代の星座ガイド紀元前3世紀、マケドニアに生きた詩人アラトス(またはアラートス)。プラトンやアリストテレスより少しあとの時代に、彼は神話と天文学が交差する時代背景のなか、空の星々を詩で描いた。彼の...

『仕事と日』を読む|ヘシオドスの教訓詩が語る神話・天文・そして“働く”こと

ヘシオドス『仕事と日』――神話と天文紀元前7世紀ごろ、ホメロスと並ぶ古代ギリシャの詩人ヘシオドスが残した『仕事と日』。『神統記』と並ぶ代表作として知られ、神話や農業の教訓詩である本作は、現代の私たちが読んでも驚くほど面白く、風刺と洞察に満ち...
哲学

【ATALANTA FUGIENS】「逃げるアタランテ」EMBLEMA Ⅰ.〜風が彼を腹の中で運ぶ

"Portavit eum ventus in ventre suo."北風と命のはじまり古代ギリシャの人々は風に人格を与え、方角ごとに神の名を与えた。北風は「ボレアス」と呼ばれた神で、生殖の力をもつと信じられていた。プリニウスの記述では、...
哲学

小学校の校庭に現れた二人の宣教師――“永遠の生命”をはじめて聞いた日

ある日、校庭に現れた二人組「永遠の生命」――その言葉を私がはじめて耳にしたのは、小学校の1年生か2年生の頃だったと思う。昭和のあの時代、町にふいに現れる外国人の二人組。今も昔も変わらないのだろうが、白人の若い男性たちは、どこか現実離れした魅...
哲学

アリストテレスの“第9のもの”とは何か|天動説・宇宙論・形而上学の核心に迫る

アリストテレスと「第9のもの」──天動説と宇宙論の哲学的展望古代ギリシャの哲学において、地球は不動の中心であり、そのまわりを天体が巡るという天動説が当然の前提とされていました。アリストテレスの宇宙論も、この天動的世界観を土台に構築されていき...
哲学

プラトン『国家』第8巻の“生成を規定する数”を読み解く|幾何学と魂の周期

「国家」第8巻と“生成を規定する数”プラトンの『国家』第8巻には、「生成を規定する数」と呼ばれる謎めいた幾何学的な文章が登場する。全著作中でもっとも難解とされるその一節を、まずは岩波文庫・藤沢令夫訳から引用しよう。書き出し:すべての生成物は...