2025-04

小説

【マンディアルグ短編】「ポムレー路地」レビュー|怪物と幻想が蠢く異形の回廊

【マンディアルグ】「ポムレー路地」(Le passage Pommeraye)解説・感想・紹介まず実際の“ポムレー路地”の写真を見ていただこう。ネット上から拾ってきた画像だが、雰囲気はよく伝わるはずだ。日本人にとってはあまり馴染みのない“路...
評論

【ファインマン物理学】岩波書店レビュー〜物理音痴の人でもきっと楽しめる教科書

全5巻を読むまでの道物理学者リチャード・ファインマンの名前を、私が初めて知ったのはアランナ・ミッチェルの『地磁気の逆転』(邦訳)を読んだときだった。高校の数学すらまともに習得していない私にとって、物理学の世界は本来縁遠いもの。しかしファイン...
エッセー

【COVID-19】緊急事態“解除”の幻想──バラムの驢馬と現代人の視力

※本記事についてこれは2020年、日本で“緊急事態宣言”が解除された日、筆者が書き留めた記録です。あれから世界は変わったように見える。しかし本当に何かが変わったのか?むしろ今こそ、旧約聖書の驢馬が見ていた「見えない危機」に、もう一度耳を傾け...
日常

安倍首相辞任の日に記した私的随想録|震災、引きこもり、聖霊、そして再生の記憶

【随想録】あの頃、安倍首相が辞任した日のこと※この記事は2020年、安倍晋三元首相が健康上の理由で辞任した当時に書かれたものであり、当時の空気感と筆者の私的な記憶を交えて構成されたエッセイです。民主党政権の記憶安倍首相の辞任は、ただ一人の政...
日常

悪霊と重力──HEP FIVE転落事故をめぐる思索

はじめに2020年10月、大阪・梅田の商業施設「HEP FIVE」の屋上から、17歳の男子高校生が転落し、下を歩いていた19歳の女子大学生が巻き添えになって亡くなるという痛ましい事故が起きた。この出来事を報じた記事を読んだとき、私は物理学と...

中原中也「月夜の浜辺」考察|繊細な感受性と漂着するボタンの詩学

若くして逝った詩人中原中也──日本近代詩に燦然と輝く、素朴な彗星。1907年、現・山口県湯田温泉に生まれ、30歳の若さで夭折した(1937年・昭和12年)。「夭折」という言葉を私は中也の年表で初めて知った気がする。私が彼に出会ったのは高校の...

中原中也の詩が心に残る理由|無常と記憶を詠む詩人の魅力

【詩人・中原中也】心の友だった詩、今もなお胸に残る理由中原中也──学校でも習う詩人だが、その名前の響きからしてどこか印象に残る。中が二つもあるし、どこか風変わりで親しみやすい。悩みの多い思春期から青春時代、私はずっと彼の詩を「心の友」として...
小説

【処女とダイヤモンドの秘儀】神の子を宿す宝石鑑定と幻視の物語

【マンディアルグ】「ダイヤモンド」レビュー〜『燠火』収録の傑作短編小説【あらすじ】処女とダイヤモンドの秘儀物語の舞台は、リヨン通りの丘の上に建つ由緒ある宝石店。何世紀にもわたり営業を続けてきたこの店に、新たなダイヤモンドが届く。店主モーゼ氏...
小説

【マンディアルグ】短編「子羊の血」後編|黙示録の夜に少女が見た幻と殺意

【マンディアルグ】「子羊の血」〜短編集”黒い美術館”より紹介(2)フランスの作家アンドレ・ピエール・ド・マンディルグ氏の短編集『黒い美術館』より「子羊の血」を紹介。*前回からの続き→【マンディアルグ】「子羊の血」〜短編集”黒い美術館”より紹...
小説

【マンディアルグ】短編「子羊の血」解説|少女と愛兎に訪れる静かな地獄

【マンディアルグ】「子羊の血」〜短編集”黒い美術館”より紹介(1)フランスの作家アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグによる短編集『黒い美術館』から、「子羊の血」を紹介します。◆ 前置き“子羊”と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは新約聖書に登場...