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【地磁気の逆転】アランナ・ミッチェル〜”科学の大衆化”を意図するジャーナリズム著作

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チバニアン

光文社単行本「地磁気の逆転」はソフトカバーで気軽に読める、300ページちょいのめちゃくちゃ面白い本。地磁気に興味を抱いた人が日本語で”地磁気”と検索すると、2018年に出版され翌年翻訳された本書が真っ先に出てくる。

このような現代の良書が邦訳されたのは、翻訳者チームのあとがきにもあるが日本が発見した”チバニアン”なる石の宣伝の意味があるらしい。筆者もチバニアンの説明を聞いても何らの興味は覚えないとしても、アランナ・ニッチェルさんの本だと書き方がうまいので夢中になってしまう。

ジャーナリズム

1回目は現代の科学の記事を読む、ただ知識を蓄えるくらいの気持ちで流し読みした。読後ただ単に知りたかった知識が私のようなど素人の一般人にもわかっただけでなく、1ページ1ページをもう一度じっくり味わって読みたいという、普段芸術作品にしか感じないリスペクトまで覚えた。

日本語という翻訳にも関わらずとても読みやすく、印刷のフォントも大きさもちょうど良い。ソフトカバーの手触りと適度な重量でベッドでも読める。これは病みつきになる。2度でも3度でも読みたい本だ。

その理由は単なる科学説明ではなくてところどころライトな小説風の気の利いた描写、旅行記風の記述など国語と理科が程よくブレンドされているのだ。最初は余計なことでページ数を稼いでるのか、そんなことよりこっちが知りたいことだけ書いてくれ、なんて心狭いことを思ったが、実は作者のこの心配りによって私のような一般人でも飽きなく最後まで読めるのだということに気づいた。

電磁気学

また図版や絵、写真、注釈一切なしだが、それは現代の本らしくたくさんの興味深い固有名詞や地名などにも関わらず、各自好きなように検索してくださいと言わんばかりである。それが逆に読者の探究心をそそる。もしこれが借りてきた本でなければアンダーラインだらけにして、ひとつひとつググって画像や地理や歴史を調べるだろう。

まずこの本の面白いところは、ルネサンス時代の研究だけでなくアリストテレスなどの古代ギリシャ人の哲学まで引用したりするところ。そしてどのような経緯を経て電磁気学が今の段階にまで発達・進歩することができたかを辿るのである。

この本に触発されて私はとりあえず「ファインマン物理学Ⅲ電磁気学」を買った。まだ読んでいないが。読んでもわかるかわからないが、ともかく科学に対する興味をこの本のおかげで授かったのだ。それは感謝したい。

タイトル

ちなみに翻訳の題名は「地磁気の逆転〜地球最大の謎に挑んだ科学者たち、そして何が起こるのか」で、原題は”THE SPINNING MAGNET〜THE FORCE THAT CREATED THE MODERN WORLD - AND COULD DESTROY IT"(回転する磁石〜現代の世界を造り、かつ破壊し得る力)である。

邦題がチバニアン宣伝にうってつけであるのに対し、原題の方が適切に本の主題と内容を表している。すなわち私は世界の滅亡については確信し、いつという問題は別として一体どんな力がヨハネ黙示録にあるような破滅を可能とするのか、ずっと悩んでいた。

この本によってそのXがわかったと言える。預言の本にはいくつかのヒントが与えられているが、科学のなかった時代の書であるゆえ、これを現代の用語に変換する必要がある。太陽風、小惑星帯、そしてこの本のメイン・テーマである地磁気である。

コンパス

方位磁針という玩具のような単純な機械に、実は世界を支えこれを終わらせることができる秘密があろうとは考えもしなかった。少なくとも昭和の義務教育の学校でそれを習いはしなかった。それもそのはず、電磁気学の科学的知識は本当に最近になって発達したテクノロジーによってもたらされたのだということが分かった。

この本を読めば今では一般常識として必要であろう地磁気の働きを解説した動画なども、より一層理解が容易であろう。今まで私は地球の生命はただ大気圏によって保護されているとばかり思っていた。ジャーナリズムは地球温暖化問題ばかり宣伝するからだ。

またオーロラについても絶景だの神秘だの、極地における観光の目玉のようなものとしてしか放映しない。実はこれは神秘などではなく、宇宙と地球の関係を現す科学の重大な事実を啓示するものだったのだ。オーロラは、世界の終わりが来るとすれば全地で見られるであろう現象なのかもしれない。

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