アルジャジーラとは?中東発ニュースの硬派な世界観と日本メディアの限界を超える視点

評論詐欺

【アルジャジーラ】夢と現実のあわいに立ち上がる中東発ニュースの硬派な視界

夢の途中

「王様の室(おうさまのへや)」——高円寺南にかつて存在した伝説的ファッション・ヘルス。共同シャワーのアナクロな空間で、記憶の中の湿った空気と、ある種の親密な沈黙が今も心にこびりついている。

あれは夢だったのか、それとも現実だったのか。もし今見ているこの世界が夢ならば、いずれ私は目覚めるだろう。もしそうでないなら、私はもう一度あの夢の続きを見たいと願い、もう一度そこにたどり着くため、眠りへと落ちていくはずだ。

しかし、現実とは常に想像よりも生々しく、そして手の届かない場所にある。いまこの時代が夢か現か、その区別すらつかない。

中東からのリアル

「アルジャジーラ」——耳にしたことのある方も多いだろう。本拠地は中東カタール。日本から見れば遥か遠いアラビア半島の東の突端だ。

”中東”という言葉が日本人に抱かせるステレオタイプ——爆発音、紛争、宗教的対立。だがそれは、西洋メディアが提供する映像とナレーションによって作られた幻想にすぎない。

かつては文明の十字路であり、学問と哲学、詩と論理が交差した場所こそが中東だった。「世界の中心」は決してニューヨークや東京に固定されるものではない。視点を移すだけで、世界の重心はぐらりと揺らぐのだ。

ライブという現在形

アルジャジーラ・イングリッシュは、YouTubeを通じてリアルタイムで世界の出来事を報じている。特にパンデミック以後、その存在感は増した。日本のメディア報道ではカバーしきれないグローバルな視野と、淡々とした報道姿勢に安心すら覚える。

同様に「France 24」もライブ放送を行っているが、こちらは基本フランス語。とはいえ、偏った言説や情緒に振り回される国内の情報空間から一歩外へ出るために、これらの海外発信チャンネルを利用するのは有効だ。

学校が休みなら、退屈な英会話教材を捨ててしまえ。このニュース放送を観ている方がずっと楽しく、深く、賢くなる。

報道の美学

アルジャジーラは、報道番組というよりも、もはや「現代におけるドキュメント・アート」である。異常気象、武力衝突、政変、感染症。どのニュースも突き刺さるような音と映像で、私たちの無感覚を突き破ろうとする。

私は今、パンデミックの時代に生きている。奇妙だが、アルジャジーラが流しているのは、ほとんどがその記録だ。ウイルスという形なき恐怖が世界を包み、人間の営みの根幹に影を落としている。

それを私は、夢か現かもわからぬまま、ひたすら視聴し続けている。もしかすると、この視線こそが今の私の現実なのかもしれない。

参考と読書案内

【マンディアルグ】名作短編「燠火」紹介・レビュー〜夢の中の夢を見ている気分

 

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