【レビュー】AppleTV+『ファウンデーション』感想|難解SFをかっこよく体験せよ

視聴覚の墓場

AppleTV+ レビューシリーズ|SF大作『ファウンデーション』を観た感想

プラットフォーム選びから、もう戦いは始まっていた

Amazonプライム・ビデオ、また会費上がった?しかも広告付き?夜にピンポン押してくるあの配送のタイミングも、もう我慢の限界。 結果、Apple Oneに鞍替え。Apple MusicもAppleTV+もセットで付いてくるし、もはやこれ一択。 気づけば、Appleの生態系に骨ごと沈んでいた。

ハイ・クオリティな動画がズラリと並ぶ中、今回観たのは『ファウンデーション』。 原作はアイザック・アシモフの伝説的SF小説だが、そんな予備知識なくても大丈夫。 というか、あっても混乱するので心してかかれ。

第1話:「え?」の連続。わかる。最初はみんなそう。

エピソード1は、完全に視聴者の知能を試してくる。「え?」「誰?」「いつ?」「どこ?」「なんで場面変わったの?」 —という疑問が、2分に1回のペースで発生する。

でもその混乱の中に、確かな引力がある。視覚、音楽、演出、全部が「考えながら観てね」と言ってくる。 ブレードランナーの陰鬱さ、スター・ウォーズの政治劇、デューンの精神性、マトリックスの哲学。それらが美しく混ざり合ってて、「あ、これはただの宇宙戦争ものじゃないな」と気づく。

いろんな要素がごった煮なのに、ちゃんと旨味がある

SFだけじゃなく、ホラー、サスペンス、ラブロマンス、宗教、戦争、AIとジャンルの洪水。 でも崩壊していない。むしろそれを武器にして突き進んでいく。

ビジュアルと演出のレベルが別次元

背景の一つ一つが高級SF画集みたいだし、宇宙船の発進シーンでなぜか感動する。 帝国のクローン皇帝三兄弟の演技も秀逸で、喋らなくても「やばい奴」って伝わってくる。

テーマ:「予知された未来と、人間の意志の衝突」

サイコヒストリーという、人類の未来を数学で予測する理論を軸に、「未来は決まっているのか?抗えるのか?」というテーマが一貫して描かれる。

特に印象的だったキャラクターとシーン

ドモアーゼル(デマーゼル)

銀河帝国を支えるロボット官僚。優しさと恐怖が同居した存在。 切断の記憶+テロの引き金となる回想シーンは本作でも屈指の衝撃映像。

ハリ・セルダン

サイコヒストリーの提唱者。未来を予測し、文明を導く人物。 女性を殴り殺すシーンは突然のスプラッター。理性と狂気の間で揺れる瞬間が怖い。

ゲール・ドーニック

未来予知能力に目覚めた天才数学者。 未来の世界での目覚めが圧巻の孤独感とスケール感を与えてくれる。

サルヴァー・ハーディン

超人的直感で状況を打破する「市長」。ゲールとの衝突が、未来 vs 本能 という形で心に残る。

デイ(皇帝 昼)

クローン支配者の“中間点”。感情と支配欲に翻弄される姿が人間的。 ゲイの将軍とのタイマンは帝国のメンツバトルとして熱い。

ホバーマロウ

詐欺師→戦士のアウトロー。宇宙船戦闘シーンではその機転と魅力が炸裂。

女修道僧

静かなるカルトの狂気を演じ切る。信仰と破壊が同居する演説+自爆が強烈。

ゲイの将軍(ベル・リオーズ)

愛と忠誠に揺れる軍人。恋人との密会からの決闘へという流れが、見ていて苦しいけど目が離せない。

総括:これは“観た”じゃなくて“体験した”に近い

確かに難解。キャラ多い。話が跳ぶ。でも観終わったあとに「これ観た自分、えらい」と思える。 SFファンはもちろん、そうでない人も、ぜひ“飲み込まれて”ほしい。

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