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チベット仏教の秘儀【チベットの死者の書】考察〜ヒッピー、ユングら世界中で支持される理由

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バルドゥ(中有)の状態

1993年バブルも終焉を迎えた頃、一冊の本が話題となった。「原典訳チベットの死者の書 川崎信定訳」がそれである。文庫版も出て、刷数も重ねている。◯◯◯◯死者の書というのはよく見かける。ちくま学芸文庫版として出ているこの本の内容は、一言で言うとチベット仏教の経典である。人間が死んで肉体から離れると49日間の旅に出る、人間は魂として存在するからその宿主である身体が機能停止しても全てが終わりではない。一般の葬式の講話にも出てくることのある「中有(バルドゥ)」の状態である。

ニルバーナの境地

この本はバルドゥの状態から死者の魂を解脱させるための経典である。解脱とは仏陀が説いた仏教の究極の幸福状態で、この世あの世全てにおいて苦痛から解放された永遠の至福の境地だという。涅槃・ニルヴァーナとも呼ばれるが仏陀の教えではこの世に生きている状態でも解脱できると説いている。アメリカのグランジ・ロック・バンドの祖ニルヴァーナはこの境地を名前にした。激しくて荒々しい彼らの音楽は時として聴く人を恍惚状態にまで高めてくれる。けれどもブッダやチベット仏教の説く涅槃は音楽による陶酔状態を指しているのではない。

ニルバーナ状態

ところで私たちは基本的に全く知らない事を想像することは不可能だ。私たちが知覚できる快楽とか幸福とかは非常に多数あり、21世紀の今となっては猫カフェでくつろいだりアニメを観たりするのも立派な快楽・幸福である。ここで話をシンプルに戻すとして、人あるいは動物の最も根本的な欲望は食欲と性欲であるから、それらが人の欲望の主要な部分を構成しているということにしようではないか。しかし食欲も最後には性欲に勝ちを譲ることがある。激しい熱温度まで達した恋は人を狂わせしめ、好きな相手以外は何も求めずただただ相手を自分のものにしたいとのみ焦がれるようになる。というわけで、反論もあるかもしれないけれども私たちが知覚もしくは想像し得る最大の幸福は、恋い焦がれる相手との結合状態であると仮定しようではないか。しかもそれは永遠にである。ポップミュージックの歌詞みたいではあるが、それこそがニルヴァーナ状態に最も似ているだろうと推測する。

付属のマンダラ計3枚の記述

この本には計3枚のカラー絵図が付いていて、表紙の円形の曼荼羅(マンダラ)が1枚と、抱擁し合う男女の仏が描かれた曼荼羅が2枚。2枚目は静穏な、3枚目は憤怒のマンダラである。インドやその他の仏教遺跡にも、解脱=男女の結合という解釈は多く見られる。

⚫️「チベットの死者の書」関連記事はこちら→チベット仏教【マンダラ】の意味〜「チベット死者の書」についての考察【チベットの死者の書】ちくま学芸文庫版〜詳細考察

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