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【マンク】〜修道僧が悪魔と契約・少女を陵辱〜M・G・ルイス作ゴシック小説紹介(3)

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眠り薬で監禁された乙女を、地下墓地の暗闇内で犯し続ける修道僧についに破滅の魔の手が迫っていた。アンブロシオは死刑から逃れるためについに悪魔を呼び出し、契約書にサインする。シリーズ3回目。

●1回目、2回目はこちら→【マンク】〜修道僧が悪魔と契約・少女を陵辱〜M・G・ルイス作ゴシック小説紹介(1)

【マンク】〜修道僧が悪魔と契約・少女を陵辱〜M・G・ルイス作ゴシック小説紹介(2)

地下墓地

この地下墓地はアグネスも閉じ込められている、底知れない広大な迷路のような場所だった。本の最終はほぼこの地下墓地が舞台である。従って読んでいる人も真っ暗闇の悪臭漂う不気味な空間に閉じ込められているような世界に引き込まれる。

アンブロシオがアントニアを犯すために迷路のような秘密の通路を進んでいると、地上では暴動が起きていた。尼僧院長がアグネスを殺したと言って証言する修道女とともに、兄のロレンゾが宗教裁判所の命令書をもって尼僧院を告発した。

事実を知った群衆が尼僧院長と側近の者らを引き渡せと要求し、怒り狂って血祭りに上げた。尼僧院長は殴り殺され、踏んづけられて最後には血まみれの肉の塊になっていた。アグネスの身元を探して地下墓地の迷路に降りたロレンゾはまだ生きていたアグネスを見つける。さらに怪しい人影が走り去るのを見た。「この墓地には何か秘密が隠されている」そう考えた彼は探求の道をさらに進めた。

少女陵辱

かわいそうなアントニアはアンブロシオの腕の中で目覚めた。一体何が起こったのか全くもって理解できないままパニックを起こす。アンブロシオは彼女を宥めながら、いやらしい愛撫で乙女の体を汚すのだった。まだ埋葬されたばかりの死体も多く眠る地下墓地内で、修道僧は少女を犯した。

ところが一度情欲を満たすと、罪の恐ろしさと嫌悪感で身震いするのだった。だが逃げようとするアントニアを力ずくで抑え込み、物のように乱暴に扱って再び犯すのだった。

乙女の死

ロレンゾ一行の近づいてくる物音が聞こえる!アントニアは再び助けを求めて叫ぶ。がしかし罪の露見を恐れた修道僧は短剣を彼女の胸に2回突き刺し、アントニアはロレンゾの愛に抱かれながら息を引き取った。

悪魔との契約

宗教裁判所の手に引き渡されたマチルダとアンブロシオを待っていたのは残酷な拷問だった。罪を白状すればしたで、「火刑の祭り」の真夜中に火あぶりにされることに決まっていた。容疑の罪状は殺人・陵辱のみならず魔法を使ったという重いものだった。

手足の関節を外され、爪を剥がされ、指を潰され、すっかり参っていたアンブロシオの牢獄にマチルダが現れた。彼女の言うところでは自分は悪魔に魂を売ったからもう脱出した、これから地上のあらゆる快楽を味わいに飛び立つのだと。

アンブロシオにもサタンと契約を勧め、魔法の本を置いて消えた。アンブロシオは拷問への恐怖に負けルシファーを呼び出す。契約するからここから逃がしてくれと悪魔に言った。やっとアンブロシオの署名を手に入れた悪魔は喜び、彼の身体を抱き上げた。天井が割れ、アンブロシオは凄まじい速さで飛んで行った。彼らが出ると天井は再び元どおりになった。

破滅の断崖

悪魔はシェラ・モレナの恐ろしく切り立った岩の断崖の上へアンブロシオを降ろした。不審に思い訴える彼を無視し、禿げた頭を爪でがっちり掴むと上空へ翼で持ち上げると手を離した。修道僧の身体は尖った岩に何度となく激突し滅茶苦茶に傷つけられた。

身動きもできないまま河べりで倒れていると、無数の虫が這い上がってきて傷の血を吸うのだった。さらに肉食の鷲が彼の両眼を嘴で突いて抉り出した。何も見えず動けず苦しんでいると、この世とは思われない激しい嵐と雷鳴が自然に暴力を振るった。河は水位を増し修道僧の身体をゆっくりと、誰にも知られずに下流へと運んで行くのだった。

まとめ

ロレンゾの恋は破れたが代わりに現れた美女と結婚し良き家庭を持つことができた。またアグネスはシステルナス侯爵と無事一緒になることができた。二組のカップルの成立がこの陰惨な物語の救いである。だがあくまでこの小説はアンブロシオの地獄落ちを軸とした暗黒文学であり、長いけれども読み応えのあるゴシック小説の代表的作品なのである。

物語で問われているのは美徳は無知から得られる産物ではないということである。旧約聖書のアダムとイヴが知識の実を食べて楽園から追放されたことや、ボードレール『悪の華』初版冒頭に掲げられるアグリッパ・ドービニュの詩句にも見られる通りである。マルキ・ド・サドの作品にも同じ哲学が生きている。

天国へは地獄を通らなければ行けないように、美徳は悪徳を凌駕した果てにあるものと思われる。美徳に到達するには悪を否定せず、とことんまで欲望の道を突き進んで極め、善と悪が交わる地点まで行かなければならない。それはアウグスティヌスの『告白』にも読める。かの聖人は異端邪説と肉欲に溺れ続け、30歳過ぎにようやく回心し神の道へ入ったのであった。

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