シェイクスピア【あらし】あらすじ・感想〜無人島に繰り広げられる魔法の世界

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シェイクスピアの「あらし」または「テンペスト」は、弟の裏切りによってミラノ公の座を奪われ、島流しにされた親子が無人島に流れ着き、魔法と妖精の力を借りて再び元の地位に戻るまでの話。

*今回をもってシェイクスピアのレビュー・シリーズはいったん休止します。 😉 

ミラノから追放

元ミラノ公であるブロスペローは大の学問芸術好き、政治そっちのけで書斎にこもりひたすら隠された事物の探求に没頭していた。仕事を任せられていた弟のセバスチァンは、公が全然世の中のことに興味がないのを良いことに、権力を完全に私物化してしまっていた。

しまいに側近をすべて自分のお気に入りの人選で固めて、ブロスペローを幼い娘共々島流しにした。殺されなかっただけでもありがたいと思え、というわけ。波に翻弄されるがままの小舟はとある無人島に流れ着いた。ブロスペローは島の岩窟に住んで魔法の研究に没頭しながら娘を育てた。

無人島漂流

ブロスペローはもはや島の妖精も怪物も魔女も、言うことを聞かせる力を手に入れていた。彼らを自在に操って命令を下し、ナポリ王一行が乗った船を嵐に遭遇させ沈めた。しかしそれは魔法の力による幻覚で、彼らは無人島に流れ着いていながら無傷であった。

その中には裏切った弟のミラノ公もおり、ブロスペローは妖精たちを使ってかつて受けた苦しみの復讐を仕掛けるのだった。

怪物キャリバン

ブロスペローの娘のミランダは美しい乙女に成長していた。島に漂着したナポリ王の若き息子が一人やってきて、彼女を見初めるや二人はたちまち恋に落ちた。それは父親の狙い通りだった。娘を本来の高い地位に戻してやりたかったのだ。

またブロスペローが飼っている怪物のキャリバンは、多分チューバッカみたいな毛むくじゃらの化け物だった。魔女が産んだ子を助けてやったのに、この怪物はブロスペローに逆らってばかりだった。

同じく島に流れ着いた道化のトリンキュローと酒飲みの賄方ステファノーがキャリバンを見つけ、酒を飲ます。化け物は酒を飲ましてくれた賄方を神様だと信じ、家来にしてくれと頼む。

キャリバンはブロスペローの魔法の本を取り上げて殺してくれれば、酔っ払い二人がこの島の王様として何でも好きなことができると吹き込んだ。

空気の精

だがブロスペローのお気に入りの空気の妖精エーリエアルが、島中を見張っておりどんな謀りごとも筒抜けだった。キャリバンの企ては失敗し、酔っ払い2人はナポリ王がまだ生きていることを知って驚いた。

ブロスペローが姿を表し、過去に受けた罪の復讐をしようとはもう思っていないこと、領地さえ戻ればそれで良いことをナポリ王に述べた。そして王の息子とブロスペローの娘ミランダが愛し合い、結婚することを皆は承諾した。

まとめ・感想

シェイクスピアの最後の戯曲という説がある「あらし」は、確かに作家の晩年の円熟のような広い心で書かれた感がある。ちょうどプラトンの本のなかで「ティマイオス」が異色であるように、「あらし」はシェイクスピア異色の作品。

無人島という閉ざされた舞台、魔法、妖精といった超現実世界は「夏の夜の夢」の森と妖精たちに比較できる。この一味違ったシェイクスピア劇を読んでみれば、新たな発見に驚くことだろう。

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