【ウィリアム・ブレイク】「天国と地獄の結婚」原文解読の試み(4)

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イギリスを代表する詩人・画家ウィリアム・ブレイクの本は、予言の書とも呼ばれるように意味不明で難解である。しかし文章の不明瞭を鮮やかで個性的なイラストが助けている。

読者は深い意味なんか考えずに、感じるままを直観すればよい。このシリーズは1回につき2000文字程度の記事で全4回、原文を読みながら翻訳作業も行うとともに独自解釈を進める。

*前の記事はこちら→【ウィリアム・ブレイク】「天国と地獄の結婚」原文解読の試み(3)

ハープの砂浜

(前回のプレート17〜20「記憶すべき寓話」からの続き)

私の友である天使は元の位置から粉挽き場の中へとよじ登った;それで私はただ1人取り残された。すると前の恐ろしい現象はもはや消え、その代わり私は自分が月明かりに照らされた心地良い砂州に座っているのを見出した。ハープの音色に合わせて歌う曲が聴こえてくる:その歌の主題は「自己の意見を決して変えようとしない人は、心の爬虫類を生み出す淀み水のようだ」というものだった。

やがて私は立ち上がり粉挽き場を探した;そこで私は私の天使を見つけた。彼は私にどうやってあの惨事を逃れることができたのかと聞いた。私は答えた「全て私たちが見たものはあなたのメタフィジックに起因するものである。なぜならあなたが逃げ出すと、私はハープの音色が鳴る月夜の浜辺にいたからだ。

しかし私たちは私の分の永遠の運命を見たのであるから、今度はあなたのを私の方で見せてあげましょう」。天使は提案に笑ったが私は力ずくで彼を引っ張り、西の方角へと夜の中を飛んで行った。終いに私たちは地球の影をも超えて上昇した。

それから私は天使とともに太陽の真ん中に一直線に飛び込んだ。ここで私は白い衣を纏い、スウェーデンボルグの本を手に持つと輝かしき領域から沈んで行った。あらゆる惑星を通り抜けて土星までやって来ると、私はひと休みしてから土星と恒星天の間の虚空に跳躍した。

争う猿たち

私は言った「ここだ!ここがあなたの永遠の運命の場所だ。もしここが場所と呼べるものならば。」まもなく私たちは馬小屋と教会を見たが、天使を祭壇の前まで引き連れて行き聖書を開いた;すると見よ。それは一個の深い穴であった。

その穴の中へ天使を追い立てながら降って行くと、すぐに私たちは煉瓦造りの7つの家を見た。その一つへと私たちは入ったが、中には一団の猿や狒々やその種の動物がいた。これらの獣たちは胴体を鎖で繋がれ、お互いにニヤニヤしたり食い付いたりしていたが鎖の短さによって妨げられていた。

しかしながら私は時折これらの獣が数を増やし、弱い奴が強い奴に捕まるのを見た。強い奴はニヤニヤした面持ちのまま弱い奴と手を組み、後から貪り食らうのだった。まず足を一本ちぎってから次のを食っていき、最後に身体がみじめな胴体だけになってしまった。

この憐れな物体さえも見せかけの優しさでニヤニヤしながらキスした後、彼らは貪り食らった。さらに私はあちらこちらで美味そうに自分の尻尾をちぎって食っている動物たちを見た。あまりにも悪臭がひどく私たちを悩ましたため、2人とも粉挽き場へ戻った。

そしてスウェーデンボルグの本だと思って手に持っていたのは人間の骸骨だったのだが、粉挽き場でそれはアリストテレスの「分析論」であった。天使が言った「汝の妄想が私を苦しめたのだし、汝は恥じ入るように」私は答えた「私たちは互いに苦しめ合っているのです。しかしその仕事が分析でしかないようなあなたと対話するのは時間の無駄でしょうね」

プレート21〜22:スウェーデンボルグ

ある人が一匹の猿を連れて歩いていたとして、自分がその猿より少しばかり賢こいゆえに7人の智者たちよりも賢いのだと思い上がる。スウェーデンボルグの著作はそんなものだ。彼は何も新しいことを書いている訳ではない。

彼は宗教的な存在である天使と会話するだけで、あらゆる宗教を憎む悪魔とは会話していないが、それは彼が自惚れた欺瞞的な意識によって不能者であるからである。何人と言えどもまともな知性を持つのならば、パラケルススまたはヤコブ・ベーメの書物から1万倍の価値のあるものを生み出すことができよう。そしてダンテ、シェイクスピアからは無際限のものを。

しかしもしスウェーデンボルグがこのことを成すとしても、決して主人よりも物知りだと言わせてはならない。なぜなら彼は太陽の光に蝋燭を灯しているに過ぎないのだから。

プレート22〜24:記憶すべき寓話

いかなる美徳も10戒を破ることなしには成立することはない。キリストは美徳そのものであったが、彼は衝動によって行為したのであり、規則によってではなかった。前に私の元へ来た天使は今悪魔に変身して私の親友になっている。

私たちはよく一緒に聖書を開いてその地獄的な悪魔的な意味合いを読む。世界はお行儀良くするならその意味を知ることができる。私もまた「地獄の聖書」を持っている。それを世界は望む望まないに関わらず持つことになる。

プレート25〜27:自由の歌

「自由の歌」をもって「天国と地獄の結婚」は終わる。原文の自由は”Liberty”であり”Freedom"ではない。ロック歌詞や低俗な映画が良く使用する”Freedom”と精神的な哲学的な意味合いの”Liberty”は全く異なる。アメリカの自由の女神が象徴するのは”Freedom"であり、ミルトンのサタンが提唱するのが”Liberty"である。

蒼ざめた宗教的色欲をして、望みはするが行動はしない純潔さを語らしめるな。なぜなら全て生けるものらは神聖なのだから。

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