シェイクスピア【ハムレット】レビュー〜豊富な題材で描かれる若者の葛藤の心

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あらすじ

時と場所は中世デンマーク。物語はしょっぱなからエキサイティングに急ピッチで展開していく。

舞台は城壁の門衛たちが亡き王の亡霊を目撃するところから始まる。あらすじとしては亡霊の言葉によって前王毒殺の真相を知らされた王子が、恋人も捨て、貞操を捨てた妃も憎み、裏切った友も憎み、従者一人のほか味方もなく、気が狂ったふりをしながら憂鬱な仇討ちの計画を練る。

血の繋がった王の弟は昼寝しているところを見計らって、王の耳の中に毒を流し込んで殺した。王冠を奪っただけでは飽き足らず、さらに喪が明ける間も無く妃を寝取って自らの物にしたのだ。

ラストでは現王がハムレットを焚き付けて剣試合の賭けに乗せるが、毒を塗られた真剣が試合中に相手にすり替えられ、さらに喉を潤す毒杯までが仕込まれた。それと知らずに酒杯を王子に渡そうとした妃は誤って毒杯を飲んでしまい息絶える。それを見たハムレットは逆上し剣で王を刺し殺すが、試合相手が与えた猛毒のかすり傷によって死神の手に落ちる。臨終の際、全ての真実を語り伝え己の名誉が守られることを願ってハムレットは言い遺す。

豊富な題材

このようにこの作品では亡霊、毒、復讐、策略、芝居、決闘、紋章といった腹黒い中世的な要素がふんだんに盛り込まれ、飽きることなく読むことができる。またドラマティックな名場面が多く、気狂いになって溺れ死ぬオフェーリアはランボーの詩の題材となり、骸骨と戯れる墓掘り人はドラクロワの絵画となった。映画化舞台化は数知れず、まずその名を知らない人はいないといって良いくらいだろう。

「ハムレットと二人の墓掘人夫」

魂の葛藤

見所は多々あるが、特筆すべきはハムレットの感情の激しい起伏、すなわち「生か死か、それが問題だ」という有名なセリフに代表される成すべきか成さぬべきかの葛藤である。マグマのように煮え立った憎悪と怒り、謂わゆる感情のパニックというヤツである。

若者特有とも言えるこういった熱病は現代ではもうほぼ見られなくなった。むしろそういった感情は危険な分類に入り、犯罪に走りやすいため抑制されるからだ。もし理性がパニックを抑えられなければ、ストーカー殺人や無差別テロが起きる。飼いならされた市民はスマホとネットで満足し、ハムレットのような情熱を持つことは絶えてない。このようにして社会秩序が成り立っているというわけだ。

まとめ

戯曲「ハムレット」においては主人公の魂の激しい錯乱や狂ったような動きがありのまま描かれており、作者の思うままにセリフを観客に向かって吐き散らす。あたかもシェイクスピアに代わって舞台俳優が社会に対する深い呪詛を打っつけているかのようだ。

このことはシェイクスピア作品全般から窺える。その人生に謎の多かったシェイクスピアを作家マンディアルグは短編「マロニエ」の中で、マルドロールの歌の作者ロートレアモンと並べている。さほど長い作品ではないので、ちょっと休みの日とかに新ためて読んでみるのも良いかも知れない。

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