ダンテ【神曲】まとめ(8)〜「地獄篇」第19歌・第20歌・第21歌

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地獄の第七の谷にある十の悪の濠(マレボルジェ)を旅するダンテとヴェルギリウス。二人の行く手には生前の悪行に従って、種々様々に苦しめられる亡者どもがいた。

第19歌〜魔術師シモン

マレボルジェ3つ目の濠には神の名を売り物にした輩がのたうちまわっている。聖職売買、虚偽の導きに汚れた手を染めた連中は、穴に向かって頭を突っ込んで足を上にして踠いている。

したがってこちらからは脹脛より上部だけが見える。そして炎が足の裏を伝って走り、踵からつま先を舐めるように燃やすのだった。

これらが神と救いの名を用いて金銭を稼いだ輩の落ちる責め苦だ。ここにはキリスト教の法王(pope)すら堕ちていたのだった。

ウィリアム・ブレイク画 「シモニアック・ポープ」

ダンテはこれらの罪人を「魔術師シモンの徒」と呼んで罵った。シモン・マグスは新約聖書に登場する人物で魔術によって信者を集めていた。ところがキリストの弟子ペテロとヨハネの力を見て、金を渡してその聖霊(Holy Ghost)を売ってくれと頼んだ。

 第20歌〜預言者たち

ヤギでさえ通るのは難しそうな切り立った岩を、師匠に抱きかかえられて降りたダンテは4つ目の濠に到達する。

ここには未来を占ったり適当な予言をしたりして名声を得た人々が苦しめられている。それらの魔法使いはアンピアラオス、ティレイシアス、アルンス、マントなどがいた。

アンピアラオスはテーバイ攻めに参加した七将の一人。ティレイシアスは女神アテナの水浴を見てしまい盲目とされた。しかしアフロディーテーが情けをかけて、彼に預言能力を与えた。

これらの魔法使いらは首が180度回転しており、つまり顔面が背中を向いている。そして後ずさりしながら歩いているのだった。

あまり先の事柄ばかりを見透かそうとしたばかりの、成れの果てであった。

時刻は早くも聖土曜日の午前6時、地獄巡り開始後12時間が経過していた。

第21歌〜煮えたぎる瀝青(ピッチ)

五つ目の濠には汚職や収賄の罪によって裁きを受けた連中がいた。彼らは熱く沸騰した瀝青に浸されている。瀝青とはすなわちアスファルトなる化合物である。

真夏の道路舗装やビルの屋上防水工事を体験したことのある方ならおわかりだろう。この恐ろしく熱い釜戸で茹でられている罪人は、そこらじゅうを飛ぶ悪鬼たちに鉤針によって引き裂かれていた。

ダンテとウェルギリウスは鬼の隊長の命令を受けた邪悪な部下らに付き添われて、引き続きマレボルジェを進んで行くのだった。

まとめ

イギリスの版画・画家、詩人ウィリアム・ブレイクの描いた「神曲」の絵はギュスターヴ・ドレのそれよりもずっと斬新である。この長い詩はただ読んでも中々退屈であるので、魅力ある挿絵を挟みながら回を重ねていこうと思う。

◯ウィリアム・ブレイクの記事はこちら→ウィリアムブレイクの詩とザ・ドアーズについて

ウィリアム・ブレイク【天国と地獄の結婚」】「知覚の扉」プレート版画について

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