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【チャビン・デ・ワンタル】南米ペルーの遺跡〜神殿地下最奥部にいる神〜El Lanzon

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「チャビン・デ・ワンタル」は南米ペルーにある、紀元前1000年頃に栄えたチャビン文明の遺跡である。世界遺産に登録されていながらあまりその名前は一般には知られていない。今回私がこの記事を書くのは、チャビンの地下神殿の迷宮にいる神の名前を知ってもらいたいからだ。

暗闇の神ランソン

それは「ランソン」と呼ばれる全長4メートルにも及ぶ巨大な石柱である。長い槍のような形をしており、柱にチャビン文明独特の装飾が彫られている。地下神殿のド真ん中の奥深くに、まるで大地を己が支えているかのように突っ立っている。恐ろしい眼は上を向き、耳まで裂けそうな口元からは2本の長い牙が突き出ている。

ランソン

イギリス南部のソールズベリーにあるストーンヘンジのごとく、アート(芸術)は古代に遡るほどにプリミティヴになる。ランソンは神だし、神だったのであろうが、それを造ったのは人間のイマジネーションだ。そして聖なる大地は役所に指定されたわけでもなく、この地に住まうDeity(神)によって人間が自ら聖なるものとした。日本の首都は東京である。だがそれはいつの間にかそうなっていたからか、もしくは飲食店や政治中枢機関やファッションからそう決められているに過ぎない。この場所を聖なる土地とするという強靭な意志があれば、名もなき野原に聖都を築くことだってできるのだ。

ノアの子孫であるアブラハムに舞い降りた巨大な暗闇の恐怖にも似た古代の夜、神殿でランソンを拝み陶酔に浸ったであろう祭祀たちこそ、本当の意味でのアーティストである。

凶悪なカベッサ・クラバ

カベッサ・クラバ

また神殿の石の壁にはカベッサ・クラバという顔が突き出ている。頭の釘という意味だそうだが、この顔は異世界から現世に飛び出してきた悪魔のようである。目はかっと見開かれ、ランソンのように笑いによって裂けた口元から牙が出ている。チャビン・デ・ワンタル遺跡にはこのような頭の釘が多数設置されている。ちょっと恐いけどかなりユニークでもあるモニュメントだ。

ライモンディの石

ライモンディの石

「ライモンディの石」と呼ばれる石板には、両手に杖を持ち頭に多数の冠をかぶった宇宙人のような人が描かれている。多重の冠は怪物の無数の触手のようでもあり、ややグロテスクである。やはり南米という平均気温の高い気候柄か、燃えるようなイマジネーションが見てとれる。

まとめ

紀元前1000年、ランソンはどこにも移動せず、己のいる場所を最強の要塞として自ら聖化した。どこへ行きたいとか、ここは気に入らないとかいう前に、地獄を支配するサタンのように暗黒の奥深くでとぐろを巻く蛇になれ、とこの石柱は語っているかのようである。 <広告↓>

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